【稲田校長 福岡マラソンに挑戦。その陰にはある少年との約束が。】

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11月8日 私稲田が50歳にして人生初、42.195キロのフルマラソン完走にチャレンジしました。

 結果は、「完走」。
ひとつの目標を達成することができました。

タイムは6時間55分のタイムリミット5分前のゴールでした。
最悪のコンディションにも関わらず、私の足を動かしてくれたのは、ある少年との約束がありました。

7か月前から練習を開始し、連続2キロが走れないところから、距離を伸ばしながら怪我と戦いながら徐々に距離を、5キロ、10キロ、20キロ、28キロと伸ばしていきましたが、それ以上の距離はぶっつけ本番となりました。

しかも本番2日前に風邪を引いてしまうという最悪のコンディション。
朝に途中に鎮痛剤を飲みながら懸命に足を動かしました。

天気は雨の予想に反して27℃というまるで真夏日の日差しがじりじりと体力を奪っていきます。

20キロ過ぎ・・
股関節の痛みで足が止まる。

もうここまでか・・

せいちゃん(少年)との約束が果たせないのか・・

くやしさで涙がこみ上げてきました。

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せいちゃんは、受験を前に勉強ができなくなり、学校にも行けなくなりました。
親、学校、塾などいろんなことが複雑に絡みあい、ついにせいちゃんはパンクしてしまいました。
「もう学校に行かない」「もう勉強しない」と。

せいちゃんは、「ぼくの気持ちを誰もわかってくれない」と必死で訴えていましたが、その声は周囲に届きませんでした。

そんな時にせいちゃんと会う機会がありました。
話を聴くと、予想通り全てを背負いこんでいました。

苦しいだろう・・せいちゃん。
一人で大人の問題まで背負いこんで。

せいちゃんの気持ちが痛いほど伝わってきました。

周囲の大人がせいちゃんに与えてきた不信感がせいちゃんに重くのしかかっていました。

せいちゃんとの信頼関係と作るには、大人がその姿を、信頼できるという姿を見せるほかないという状況でした。

親でもなんでもないあかの他人の私ですが、
せいちゃんと約束をしました。

「私は、今度人生初のフルマラソンに挑戦する。そのマラソンはせいちゃんのために走ろうと思う。完走しようと思う。
全く走ったことにない距離で未知の世界で不安だらけ・・だけどせいちゃんのために走ってみたくなった。」

「せいちゃん こんなおじさんが一人ぐらいいたっていいんじゃないかな」

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せいちゃんとの会話が頭をよぎり

足が動かなくなったくやしさが涙となり

天を見上げて

ごめん・・せいちゃんごめん・・約束が守れそうにない・・

もう・・だめだ・・


そう思ったところに携帯に電話が。

「ゴールで待ってるよ。彼のために走るんでしょ。ゆめちゃん達(姪っ子家族)も一緒に待ってるよ。頑張って!」
それは妻からの電話でした。

なんでこのタイミングなんだよ。
この後信じられない奇跡が起こったんです。

なんと足が動き始めたんです。



そこからさらに10キロ。

30キロ地点で再び股関節に激痛が走り

今度こそもうだめだ

もう動けない

またしてもせいちゃんの顔が浮かぶ・・

せいちゃん 今度はもうほんとにだめだ

ほんとにだめだ

足を引きずることもできない

・・・そこに聞こえてきた聞き覚えのある声
「いなださん いなださん! うわーいなださん!」
いるはずのないところに私の知人夫婦が

なんでこのタイミングなんだよ

「いっしょに写真とろっ!」

股関節痛いのにー(笑)
歩けないのにー(笑)

いっしょに写真撮って笑うと
またしても奇跡が

足が動きはじめるではありませんか。

いけるぞ!いけるぞ!
せいちゃんいけるぞ!

そう言い聞かせながら進んでいきました。

このあたりで流れてきたZARDの曲♪
「負けないで♪」

負けないで

もう少し

最後まで走りぬけて

どんなに離れてても

心はそばにいる


こんなにいい曲・・こんなにいい歌詞だったのかと励まされながら
40キロ手前で最後のチカラをふり絞るように腕を振ると、腕はまだ元気ではありませんか。

足がだめなら腕を振りました。
そうしたらまた足が動きはじめました。

しかし、次々と関門(制限時間)が迫ってきます。

必至で腕を振りました。
前傾し、腕を振り、かっこうなんかにかまっていられません。

腕を振り
腕を振り

最後の関門をクリア。

後2キロ・・

時間との戦いです。


このころには風邪の症状と両足の痛みで放心状態です。
いつ倒れてもおかしくない状態でした。


そこに

「もうちょっと! ガンバレ―! もうちょっと!」
聞こえてきたのは ゆめちゃん(姪っ子)の声でした。

ゆめちゃんありがとう〜


ついにゴールゲートを通過。

やりました。
ついにやりました。

完走しました。

せいちゃんやったよ!
せいちゃん!
せいちゃん
おじちゃんは君との約束を果たしたよ。

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「もう無理。もうだめ。」

あきらめかけたところにせいちゃんの顔が浮かび、みんなの声により「完走」が叶いました。

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翌日の夜

まだガタガタの体でしたが、せいちゃんを呼び出し、せいちゃんの胸にメダルをかけることができました。

せいちゃんはたいへん喜んでくれました。

今度は俺の番だと。


このメダルはせいちゃんがかけるにふさわしいよ

おじちゃんはそのために走ったのだから

そのために奇跡がいっぱい起こったのだから

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・・・・・・

お母さんからメールをいただきました。

還りのタクシーの中で、


「長い冬眠をしてごめんなさい もう大丈夫だから!

 ぼくを応援してて・・」

せいちゃんがお母さんに言ったそうです。

当たり前!

みんなで応援するにきまってるよ!


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当初は人生をマラソンに例えるならマラソンを走ってみなくちゃわからない

そんな気持ちがありましたが、

「マラソンには人の人生を変える力がある」

今はそう断言できます。


せいちゃんという未来のある少年が大人達により壊されそうになりました。

しかし、またせいちゃんを救い出せたのも大人達です。


「一人の少年のために走る」

純粋で単純で無理してばかみたいにひたすらゴール目指して走る姿

こんな大人の姿を子供達は求めているのかもしれません。






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